第8回あたらしい創作絵本大賞の結果

大賞作品は、出版されます。
あたらしい創作絵本大賞は、こどものためのロングセラー絵本を創作する人を発掘していくコンテストです。
第7回あたらしい創作絵本大賞の審査結果
第6回あたらしい創作絵本大賞の審査結果
第5回第4回第3回第2回第1回

たくさんの作品ありがとうございます。応募終了しました。

大賞 なし

優秀賞

「わがはいは こめつぶである」園田 源二郎(そのだげんじろう)

●プロフィール
滋賀県生れ。
絵を描いたり、絵本をつくったりしています。
俳句もやっています。俳号は風倒木(ふうとうぼく)。

●受賞コメント
このたびは選んでくださり、ありがとうございます。
こめつぶは、いのちのつぶ。
子どもも、おとなもいのちいっぱい思いきり生きよう。
いのちのほのおよ燃え上がれと念じながら、こめつぶに
なりきって作った作品です。

わたしの家では今もかまどでごはんを炊いています。
かまどの横には火の神さまがまつってあり、
ちいさなお皿にお米と、お塩をおそなえします。
お米はすずめやごきぶりが食べるので、すぐに
からっぽになります。

曾祖母(ひいおばあさん)はこれを、神さまの食事だと
教えてくれました。
曾祖母や、火の神さまがこの作品をわたしに
描かせてくれたのかも知れないと思いました。

佳作 6作品

「大仏さんのなやみごと」マスダ ケイコ
「タットのママ」しまだ かほ
「すみれさん」はらだ あい
「ひとりぼっちのヘビ」板垣 夏樹(いたがき なつき)
「ぼく かいじゅう」まつもと ゆかり
「すてきなすいてき」舞原 貝(まいはら かい)

最終選考に残ったが選ばれなかった作品
「なにになるのマカロニさん」まるやま なお
「なつやすみのしょちゅうい」むとう だいじろう
「あかりをどうぞ」亀井 莢(かめい あきら)
「たねもしかけもございません」ウメチギリ
「ラズベリーヌの誕生日」加藤 弥祐
「はじめは、はくちょう」しいな さいち /やまうち ゆうか
「うーちゃんとゆめのたんけんたい」イクセ リョウジ

審査員 総評 (50音順)

みやざき ひろかず

一次審査に残った作品は、ひと目で今までのどの回より絵のレベルが高いことがわかりました。でも残念なことに、ほとんどの作品が絵のレベルに物語が伴っていなかったように思います。絵本は絵が生命…とはいってもやはりストーリーを通して作者の伝えたいことをしっかり伝えることが大切。また全体に絵本の中へ読者を惹きこむ力が足りないようにも思いました。絵の魅力では大賞になる要素を持った作品がいくつかあっただけに、とっても惜しいというのが今回の選考の感想です。優秀賞の「わがはいは こめつぶである」は作者の主張がはっきりしていて気持ちよく読めました。絵もアート系で素敵。ただこどもの読む絵本という点ではすこし疑問が残ります。アートな感じを残しながらもっと楽しく入り込みやすい表現を期待したいです。最終選考に残った中で特に絵が魅力的だったのは「すみれさん」。大胆な構図や色彩の美しさ、デフォルメの楽しさが印象的です。「すてきなすいてき」の絵画的表現もとても魅力的です。「タットのママ」はかわいさと絵の完成度の高さが好評でした。「ぼく かいじゅう」はセンスのよい色彩と安心して読める感じがいいですね。最終審査に残りませんでしたが、「うーちゃんとゆめのたんけんたい」「くまのパーシェ」も独特の世界観がとても素敵です。

宮下 恵茉

今年は残念ながら、大賞作品を選ぶことができませんでした。毎年同じことの繰り返しになりますが、一次審査を通過している作品は、みなさんとても絵がお上手なのです。でも、とにかくストーリーがおもしろくない。そしてテキストがよくありません。
絵本は、絵とことばで世界を作り上げ、物語っていかねばなりません。どちらも同じだけ大事なのです。
審査会では『タットのママ』、『すみれさん』の評価が高かったです。ですがどちらもストーリーがしっかり練られていなかったのが残念でした。わたし個人としては『大仏さんのなやみごと』、『わがはいはこめつぶである』がおもしろいなと思いました。でも、商業絵本として出版にするにはあと一歩足りませんでした。来年こそ、もっと自由で、もっとはちゃめちゃな世界に連れて行ってくれるようなあたらしい作品を期待しています。

創作絵本大賞 事務局

長野ヒデ子先生が、審査会に出席できませんでしたので、今回は、事務局がかわりに総評を書きます。
応募作品を開封する時は、いつもドキドキワクワクします。今回は、絵がすばらしい作品が多く、開封作業は楽しい時間でした。最終候補にあがった作品は、それぞれに物語設定や展開に問題があり、大賞作品を選べず残念です。絵も大切だけれども、物語、ページのめくりを意識した作品づくりが重要になってくると思います。そんななか、『わがはいはこめつぶである』は、自由で、絵とことばの相互関係がしっくりくる作品です。ただ、アート系によりすぎていて、「子ども向け」という意味では、もう少し配慮が必要だったかも。出版するということは、商品になるということです。自分の思いをぶつけるアート作品とは違い、多くの人に受け入れてもらえる、特に子どもに共感してもらえ、親に買ってもらえるということが重要になってきます。このコンテストの趣旨のひとつでもある「あたらしさ」とは相反するかもしれません。でも、あたらしくて、子どもたちに共感の得られる作品をおまちしています。

※審査員・長野ヒデ子先生が、ご都合のため審査会に出席できませんでした。

主催:梅花女子大学
共催・運営・事務局:アミーニ梅花女子大学児童文学科・こども学科同窓会
協賛:株式会社未来屋書店